「旅マエ」──つまり、外国人旅行者が日本行きの決断を下し、具体的に旅程を計画し始めるその瞬間は、インバウンド集客において極めて重要な転換点です。 なぜなら、ここで“行く”と決めた人は、後の「旅ナカ」「旅アト」の施策(宿泊予約、現地体験、お土産購入、SNS投稿)に影響を与えるからです。 本稿では、どのような“決め手”が外国人にとって日本旅行を選ばせるのか、マーケティング上押さえるべきポイントと情報戦略を整理します。

1. 外国人が「日本旅行を決める瞬間」の構成要素

まず「いつ」「なぜ」「何をきっかけに」旅行先として日本を選ぶのか、その典型パターンを整理します。

①きっかけ(トリガー)

  • SNSや動画投稿で「映える」体験・風景を見たとき。 特に若年層では、海外旅行の行き先を選ぶ際にSNS投稿を重視する傾向があります。
  • 為替・費用の優位性(例:日本円が弱含み/旅コストが下がっていると感じたとき)
  • 新規の直行便や航空路線開設、LCC의参入など「アクセス改善」による機会。
  • 国/地域のイメージ刷新(例:ポップカルチャー・アニメ・温泉・地方観光地の改めての発見)
  • 特定の体験(例:伝統文化、温泉、季節体験、地域限定フェスティバル)が“今”行く価値ありと感じたとき
参考

トラベルボイス

②意思決定のプロセス

外国人旅行者の意思決定プロセスは、「興味」から始まり、その後「調査」「候補の絞り込み」を経て、最終的に「予約」という行動に移るという流れが一般的です。多くの旅行者は出発前に日本での旅程を詳細に組み立てる傾向が強く、ある調査では約8割の訪日客が“来日前の段階で旅程を決定している”という結果も示されています。

また、過去の自身の旅行経験や、家族・友人からの口コミといった“身近な人の意見(主観的規範)”も目的地選びに大きな影響を与えることが分かっており、こうした複数の要素が積み重なることで、日本行きの最終判断が形づくられています。

参考

ejbmr.org

③決定を後押しする情報・安心材料

外国人旅行者が日本行きを最終的に決断する背景には、いくつかの“安心材料”が存在します。 ビザや入国手続き、交通アクセス、言語対応、キャッシュレス環境といった基本的なハードルが低いことは、旅先選びにおいて大きな安心感を生み、検討段階にある旅行者の不安を和らげます。

また、宿泊施設や観光地の情報が英語や簡体字などで整理されていることで、旅程全体のイメージが具体的になり、初めて訪れる旅行者でも日本を選びやすくなります。 さらに、現地で得られる体験が“期待どおりでありそうだ”という信頼性は、目的地として日本を選ぶ重要な決め手です。 そこに、季節限定のイベントや地域独自の体験、新しい施設のオープンといった“今行く理由”が重なることで、旅行者は日本行きを確固たる選択へとつなげていきます。

2. マーケティング視点での「旅マエ」情報戦略の設計

では、上記を踏まえて、インバウンド集客における「旅マエ」段階で有効な情報戦略を整理します。

(1) 視認性・発見段階

  1. SNS+UGC(ユーザー投稿)を活用 旅の“きっかけ”として、インスタグラム、TikTok、RED(小紅書)などで「行きたい!」と思わせる体験や写真を露出させることが大事です。
  2. ターゲット国・世代別に感性を設計 例えば中国本土ではRED、小紅書での「日本旅行言語レスポンス投稿」が鍵となります。 韓国・台湾などではInstagram+YouTubeが優位です。
  3. 検索/動画でも旅先として日本が候補に入るよう、SEO・動画広告・タイアップコンテンツを仕掛けましょう。
  4. 「期間限定」「地域限定」「新体験」「インフルエンサー体験」などで“今”行くメリットを訴求します。

(2) 調査・検討段階

  1. 多言語での情報提供が重要 観光地・宿泊・移動の情報を母語・英語・簡体字などで分かりやすくなります。
  2. 「ハードルを下げる」情報を前面に ビザ簡易化、交通アクセス、キャッシュレス、Wi-Fi/SIM、安心安全、言語サポートなどあると安心です。
  3. オンライン旅行代理店(OTA)、口コミサイト、SNSレビューを通じて信頼性を構築 パーソナライズ情報:旅スタイル(FIT、グループ、家族)、目的(体験・文化・グルメ)、地域(都市/地方)別に情報を分けます。
  4. 早期予約特典・キャンペーン提示 決断を促すための“限定感”を演出します。

(3) 決定・予約段階

  • Webサイト・アプリのUX最適化
    ➡モバイル対応、母語対応、決済手段多様化
  • 旅程・宿泊・体験のパッケージ化提供
    ➡旅マエに「どこで・何を・どのくらい」のビジョンを持たせることが重要です。
  • インフルエンサー・KOLの活用
    ➡旅マエ段階で信頼を獲得し、予約への導線を作りましょう。
  • リマーケティング・メール/SNSフォローアップ
    ➡検討中のユーザーに再度訴求します。
  • 予約後のフォローアップ
    ➡出発前に「旅ナカの楽しみ」を更に醸成(例:旅程のアプリ提供、地域別オススメ情報、SNS投稿促進など)。

3. 押さえておきたいトレンドと留意点

「旅マエ」情報戦略を実行する上で、最新トレンドのキャッチ&留意すべき点を整理します。

トレンド

  1. FIT(Free Independent Traveller)化 団体旅行より自由旅行傾向が強まっており、旅マエ段階から個別体験・地方志向・長期滞在が広まっています。
  2. SNSでの“体験映え”+“リアルなクチコミ”重視 写真・動画で“どこ行って何をするか”をイメージしやすい情報が鍵です。
  3. 言語・文化・決済ハードルへの配慮 多言語表示、キャッシュレス、Wi-Fi完備、交通アクセス改善が旅マエの安心材料になります。
  4. サステナブル旅行/地域分散型旅行志向 混雑を避けるため、地方・秘境・地域体験を旅マエ段階から訴求する動きがあります。
  5. シーズナリティ・限定体験の価値上昇 例えば季節イベント、新規施設OPEN、地域再発見型観光が旅マエの“今行きたい”動機に繋がります。

留意点

  • ①旅マエ段階での情報過多・選択肢増大 ユーザーにとって“決められない”状況も増えており、明確な訴求軸が必要となってきます。
  • ②信頼性の確保 偽レビュー・過剰演出などにより、実態とのギャップが信頼失墜に直結してしまいます。 旅マエから旅ナカ・旅アトまでの体験を繋げる設計が重要です。
  • ③地方・中小観光地の戦略 大都市が目立つ中、地方は情報発信力・母語対応などで遅れを取るケースもあります。 旅マエ段階からターゲットに届くようプラットフォームを設計をしましょう。
  • ④オーバーツーリズム(過剰観光)・地域の受け入れ態勢 旅マエから「混雑」「マナー」「地域貢献」などを意識させることで、持続可能な観光にも寄与。

4. 実践事例:旅マエ段階で活用できる戦略フレーム

マーケター/DMO(Destination Marketing Organization)視点で、旅マエ段階で使えるフレームを提示します。

フェーズ主な目的チャネル/施策例
発見 (Awareness)日本旅行を候補に入れてもらうSNS投稿(KOL/KOC)、動画広告、検索連動・YouTube、インフルエンサー体験リポート
検討 (Consideration)日本旅行を“自分ごと”に落とし込む多言語Webサイト、口コミ・レビュー、旅程サンプル、地域別訴求、オンライン相談・チャット
決定 (Decision)予約・行動を促すOTA連携、早期予約特典、決済・手続きガイド、予約後フォロー、旅程作成アプリ

◎プラットフォーム別具体施策

  1. SNS(Instagram/TikTok/RED) 若年層・FIT層に対して「いま行きたい」感を醸成しましょう。
  2. 動画・ライブ配信 長尺/短尺問わず、旅マエ段階でのリアル体験紹介がユーザーの共感を呼びます。
  3. KOL/マイクロインフルエンサー 地域や体験が限定的でも影響力が高くなりやすいのが特徴であり、フォロワー数よりもエンゲージメントを重視すると良いでしょう。
  4. ウェブサイト・ランディングページ 母語対応・モバイル最適化・明確なCTA(予約/問い合わせ)設置。
  5. 行動データを活かした再アプローチ 探索行動を捉えて、検討段階にいるユーザーに対して再接触。
  6. 旅程・体験の見える化 旅マエに「何をするか」がイメージできるよう、3Dツアー、VR、プランニングツール導入。

まとめ

「旅マエ」段階は、外国人旅行者が日本を“行き先候補”から“予約手続き”へと踏み出す最初のクリティカルな瞬間です。 SNS・口コミ・体験訴求などで“きっかけ”をつくり、ハードルを下げる情報提供と決断を後押しする予約設計を整えることで、インバウンド集客の質と量を飛躍的に高めることができます。

マーケターとしては、「発見 → 検討 → 決定」という流れを俯瞰しつつ、ターゲット国・旅スタイル・チャネル特性を掛け合わせた戦略設計が必須です。 さらに、旅マエの施策が旅ナカ・旅アトの体験とどうつながるかをあらかじめ設計しておくことが、リピーター化/口コミ拡散化にもつながります。

また、当社では企業様の訪日外国人向けプロモーションをサポートするサービスを展開しており、 外国人インフルエンサーが店舗へ来店し、SNSにその投稿してもらうことでPRをすることや、 小紅書(RED)の運用代行を行い、日本で利用されているようなSNSへのアクセスが制限されている中国本土に向けてPRをすることができます。

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