2024年、2025年と訪日観光客数が過去最高を更新し、日本のインバウンド市場は伸長しております。その中でも、いわゆる「Z世代」(おおよそ1990年代後半〜2000年代生まれ)が旅行目的・情報接触手段・投稿行動において、従来の世代とは異なる“映えを意識した旅”を志向していることが、調査データから明らかになっています。
今回は、SNS投稿・行動データを起点に、「Z世代が選ぶ“映える日本”」に迫り、インバウンド観光マーケティング視点から捉えるべきトレンドを整理します。
1.Z世代旅行者の特徴:SNS重視・即決・発信型
Z世代の旅行スタイルを紐解く上で欠かせない、3つの主要な特徴について解説します。
「SNSで見たから行く」傾向
Z世代旅行者は、目的地を決める際にSNS投稿を参照する割合が高いです。例えば、「旅行先をSNS投稿を見て決定した」人は42%と報じられています。
このことから、投稿された写真や動画が “行き先” を選ぶ動機になっており、「映える」瞬間を探しに行く旅の構造が見えてきます。
旅行スタイルとして「SNS映えをする場所を巡る」が上位
調査によると、旅行に対する価値観においてもZ世代では「有名な観光地を巡る」という主流な目的以外に、 「SNS映えをする場所を巡る」ことが他世代よりも高い傾向にあったという報告があります。
「ただ観光する」のではなく、「撮って・見せる」ことが旅の一部になってきているのです。
投稿・記録=「Instagramストーリー」「投稿」が主流
旅行体験をどのように“残す・発信する”かという観点でもY世代、X世代においては「記録に残さない」と答えた割合が一番多かったのに比べ、Z世代はInstagramのストーリー(42.4%)、投稿(31.6%)という結果が出ており、他世代よりもSNS発信型の傾向が強いことが報告されています。
この結果から、旅の行動設計段階時点で「撮ってSNSにあげる」という意識があるといえます。
2.「映え」の対象:Z世代が“映える日本”で求めるもの
従来のインバウンド需要とZ世代のニーズにはどのような違いがあるのか、具体的な対象や視点を整理します。
象徴的な“日本らしさ”とZ世代の差分
一般的に、訪日観光において求められる“日本らしさ”として「和食」「自然景勝地」「桜」「富士山」などが挙げられています。
しかし、Z世代ではそこに「マンガ・アニメ」などポップカルチャー要素も加わっており、従来の“古典的観光資源”だけでは捉えきれない側面があり、「再訪したい国」においても2位と大きな差をつけ日本が1位に選ばれています。
SNS映えのための“構図”・“瞬間”が旅を左右
SNS投稿を前提とした旅では、“見た目が良い”“撮りたくなる”“シェアしたくなる”という視点が行動設計に入ってきます。 たとえば、街並み+自然光で“エモい”写真が撮れる場所や、背景に富士山/桜/和モダン風景が入る所など、日本らしさの象徴になっているものを写真でも分かりやすく伝えられるような場所がよくフォトスポットとして利用されます。
また、投稿形式の主流であるInstagramやTikTokでは、視覚インパクト/時間制限(短尺動画)/参加型(トレンドチャレンジ)といった特徴があり、旅行先の選定や“映えポイント”の評価に影響を与えています。
“体験”と“撮影”の融合
Z世代は単なる観光地めぐりではなく「趣味・体験」+「撮影・発信」を重視する傾向があります。たとえば「趣味を深める旅」が男性Z世代で24.3%あったという報告もあります。
そのため、ただ風景を見るだけでなく、ワークショップ参加・ローカル体験・インスタ映えスポット巡りなどを組み合わせると「映え」の観点からも評価されやすいです。
3.マーケティング視点から読み解く、3つのトレンド
データから導き出された、今後のマーケティング活動で意識すべき3つの重要なトレンドを提示します。
トレンド①:フォトジェニック=地方・非定番への広がり
SNS映えを狙う動きにおいて、従来の東京・京都・大阪といった定番都市だけでなく、地方や非定番スポットへの注目が高まっています。 たとえば地方訪問者は満足度・再訪意向ともに非常に高いというデータがあります。 都市では「渋谷スクランブル交差点」「銀座」「道濃堀」など有名な観光地を巡ることはできますが、 日常的にある日本らしさや和の雰囲気を感じるのは困難です。 一方地方では壮大な自然はもちろん、昭和レトロな雰囲気を感じられる街並みも多く、アニメで見るような「日本の日常」を体験することができます。
つまり、「映える」構図を求めて、地方の自然・レトロな街並・ローカル体験をターゲットにすることが、Z世代インバウンドの鍵となっています。
トレンド②:SNSプラットフォーム特性を捉えた訴求設計
Z世代のSNS利用動向として、たとえばTikTokは10代の利用率が70%と非常に高く、短尺動画・参加型トレンド・エフェクト活用が得意なプラットフォームです。 また、YouTubeはGoogleに次ぐ検索プラットフォームとして定着しており、Instagramでは写真や動画による直観的な情報収集、Xではリアルタイム性を活かした情報収集、 という形でそれぞれのSNSが特性を活かした情報収集の場として利用されています。
旅行や観光地プロモーションでは、動画映え(移動シーン・体験シーン・リアルタイム投稿)を想定し、TikTokやInstagramのストーリー・リール向けにコンテンツ設計することが効果的です。
トレンド③:体験・発信・再訪を繋ぐサイクル
Z世代の再訪意向も比較的高く、「旅体験→SNS投稿→コミュニティでの共鳴→再訪意向」というサイクルが見て取れます。 これを観光プロモーションに落とし込むには、「投稿したくなる体験設計」→「投稿のハッシュタグ/一般ユーザーの投稿を活用」→「シェアされた投稿から次の旅動機を引き出す」流れを意識すると良いでしょう。
4.実務で使える“映え設計”チェックリスト
プロモーションや体験設計の際に、抜け漏れなく確認すべきポイントをリストアップしました。
- 撮影背景として「和」の象徴(桜・富士山・和食・神社など)+ポップカルチャー(アニメ・レトロ町並み)を含める
- スマホ撮影に映える「光/構図/動線」を意識(例:夕暮れ・照明・インスタントカメラ風)
- 投稿形式(短尺動画/ストーリー/リール)に適した“動き”を設ける(例:ドローン/タイムラプス/移動ショット)
- SNS投稿ハッシュタグ設計+ストーリーシェアを想定した動線を旅体験に組み込む
- 地方・非定番スポット+ローカル体験(ワークショップ・体験型観光)を“映え”ポイントとして活用
- 投稿後フォローアップ動線も設計(リターゲティング投稿・次回の旅の導線)
5.課題と展望:“映え”の次段階へ
「映え」のブームを一時的なもので終わらせず、持続可能な観光へと繋げるための課題を考察します。
- 過度な撮影行為・混雑・マナー問題 SNSで映えるスポットに観光客が集中し、地元住民との摩擦や安全リスクが生じる事例も報じられています。
- “映え”だけでは終わらない体験の深化 単なる「映える写真撮れた」ではなく、「旅を通じた学び」「ローカルとの交流」「サステナブルな体験」が、次期インバウンド競争力になります。
- 発信者・コンテンツの多様化 Z世代はマスメディアではなく、信頼できるSNS上の“人”から情報を得る傾向があります。
- 地域分散の実現 映えスポットが集中する都市部ではなく、地方・非定番への誘客を進めることで観光の質・地域の受け入れ力ともに持続可能性が高まります。
まとめ
Z世代インバウンドの重要性を踏まえ、今後の戦略に役立つポイントを総括します。
Z世代インバウンド層にとっての“映える日本”は、単に「フォトスポットを巡る旅」ではなく、SNSで撮って・投稿して・拡散されるという発信を含めた一連の体験です。 旅のプランニングから、撮影・投稿・再訪を視野に入れた設計が、これからのインバウンド観光プロモーションにおいて重要になります。
今回ご紹介した傾向を踏まえ、御社(またはパートナー先)がZ世代をターゲットに据えたキャンペーン設計をされる際には、上記チェックリストやトレンドに沿った戦略をぜひご参考にしていただければと思います。
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